遊牧夫婦
結婚してすぐに世界を放浪しながら定住するということを決めた夫婦の旅行記で、旦那さんの方が書いている本。旦那さんは東大卒で吃音症がある方で、(東大とは明記されてないけど)学生時代や吃音に関する話も書いてあり、人となりが少し伝わってくる。
本作は5年にわたる旅と定住について書いている3部作の第1作目で、オーストラリア・東ティモール・インドネシアの旅行記だ。
読んでいても文章がうまいとは思えないのと、旅行記でもあり夫婦の事情を書いたエッセイでもある感じで、正直夫婦の話はあんまり興味ないんだよな、っていう気持ちにもなる。写真はすごく少なめで、ほとんどが文章。
放浪するにあたり最初に用意した金額は書いてある。世界一周となるとどれくらいお金が必要なのかというのは最初に疑問に思うところだから、その部分は参考になると思った。ただし、旅をしながらお金を得ることがあるライターという職業を第1作目ではまだ駆け出しの状態だが持っていること、また奥さんの方がオーストラリアに留学していたから、英語が話せるということ。これは全く何も持たずに出発する旅行者の参考にはならないであろう。
オーストラリアでは半分は電車とバスを使って旅をして、残りは車を現地で購入して旅している。車で現地を旅行するというのは長旅の人にはメジャーなやり方だと思うが、どう購入したか、キャンプ事情などその辺りは読んでいてなるほどなーと思うことが多かった。
独立したばかりの東ティモールに滞在したのもとても興味深い。今はいったいどんな国になっているのだろうか。まだ貧しくてルールもない国というのは、アフリカにはまだたくさんあったけど、だんだんそういう国はなくなっていく。まぁ日本からしたらどの国もルールがなさすぎて驚くことも多いが、世界全体で考えると、本当にまだ無法地帯だなと感じる場所はとても少ない。
そういう意味では東ティモールの章はこれぞ旅という感じで面白かった。
<まとめ>
・旅よりも個人的な話が多い(夫婦の話、自分の話など)
・オーストラリア車旅行を考えているなら軽く読んでもいいかも
・東ティモールの話はとても興味深い