たびのはなし

女1人で世界一周×3したわたしが旅に関するエッセイ・予備知識を得るための本・旅行記などを勝手に紹介

中国でお尻を手術。 (遊牧夫婦、アジアを行く)

遊牧夫婦』の続きで、主に中国に住んだ時の話が書いてある。

東南アジアも少しだけ触れているが、ほぼ書いていないので何かの参考になるかと言われると特にならないと思う。

中国って自分が行った時もそう思ったけど、「ありがとう」をあまり言わない、でも困っていると自然に助けてくれる場所である。日本の報道だけを見ていると中国の人たちの混乱や暴動的な動きしかフォーカスされないけど、人を気にかけているという部分では日本よりも優しくて驚くことは多い。

 

本書は昆明と上海での暮らしが主に書かれている。昆明では大学に行き、学生ビザをとって滞在し、上海では奥さんの方が会社に属して働き出した。旦那さんはその就労の配偶者ビザで滞在ができたらしい。

言葉を覚えて現地で働くというのはとてもすごいことだと思う。すでに英語ができたという点もあるが、大学で言葉を勉強して、そもそも住む前提で考え動いたという行動力はすごい。

 

あとは東チベットへ行った時の話が少し。そこに関しては景色が美しいという描写があるものの、写真はほぼなくて、もう少し見たかったなと思った。この本はもともと写真がほとんどないのだが、文章だけで景色を想像することは難しい。チベットへの行き方はおそらく今はだいぶ変わってしまっているのと、中国政府の弾圧でなくなってしまった景色もあると思うので参考にはならないが、チベット僧の人たちの考え方など興味深かった。

 

そして夫婦でだけではなく、誰かと旅をすることの大変さがだんだんわかってくる。いくら夫婦とはいえ、一緒にいれば大変に思うこともたくさんある。個人的な話が多い本書なので、旅行記というかエッセイ的に読んだ方が気楽に読めるのかもしれない。

 

 

<まとめ>

・中国で働いたり住んだりする話がメイン

・旅行の参考にというよりはこの著者たちの暮らしを垣間見る

・中国以外の話は参考にならない

 

 

 

遊牧夫婦

結婚してすぐに世界を放浪しながら定住するということを決めた夫婦の旅行記で、旦那さんの方が書いている本。旦那さんは東大卒で吃音症がある方で、(東大とは明記されてないけど)学生時代や吃音に関する話も書いてあり、人となりが少し伝わってくる。

 

本作は5年にわたる旅と定住について書いている3部作の第1作目で、オーストラリア・東ティモールインドネシアの旅行記だ。

読んでいても文章がうまいとは思えないのと、旅行記でもあり夫婦の事情を書いたエッセイでもある感じで、正直夫婦の話はあんまり興味ないんだよな、っていう気持ちにもなる。写真はすごく少なめで、ほとんどが文章。

 

放浪するにあたり最初に用意した金額は書いてある。世界一周となるとどれくらいお金が必要なのかというのは最初に疑問に思うところだから、その部分は参考になると思った。ただし、旅をしながらお金を得ることがあるライターという職業を第1作目ではまだ駆け出しの状態だが持っていること、また奥さんの方がオーストラリアに留学していたから、英語が話せるということ。これは全く何も持たずに出発する旅行者の参考にはならないであろう。

 

オーストラリアでは半分は電車とバスを使って旅をして、残りは車を現地で購入して旅している。車で現地を旅行するというのは長旅の人にはメジャーなやり方だと思うが、どう購入したか、キャンプ事情などその辺りは読んでいてなるほどなーと思うことが多かった。

 

独立したばかりの東ティモールに滞在したのもとても興味深い。今はいったいどんな国になっているのだろうか。まだ貧しくてルールもない国というのは、アフリカにはまだたくさんあったけど、だんだんそういう国はなくなっていく。まぁ日本からしたらどの国もルールがなさすぎて驚くことも多いが、世界全体で考えると、本当にまだ無法地帯だなと感じる場所はとても少ない。

そういう意味では東ティモールの章はこれぞ旅という感じで面白かった。

 

 <まとめ>

・旅よりも個人的な話が多い(夫婦の話、自分の話など)

・オーストラリア車旅行を考えているなら軽く読んでもいいかも

東ティモールの話はとても興味深い

 

 

手紙の行方

90年代が青春真っ只中だった人たちには「山口智子」というと、THEサバサバした女の代名詞というか、そういった女性がいてもいいんだと教えてくれた女優さんであると思う。少なくとも私はそう思う。

90年代はアイドルの時代ではなかった。小室サウンドが常にヒットチャートを独占し、かっこ良く歌って踊れるのが正義の時代。山口智子は1996年に放映された「ロングバケーション」ではキムタクの相手役として本当にかっこいい女性を演じてくれた。

 

ドラマから遠ざかり、自分で旅の企画書を書いて旅番組をやっていたなんて知らなかった。この本はその番組でチリを旅するためのロケハンとして、一人旅した際の旅行記である。

 

車を借りてチリを縦断する(途中に飛行機は入るけど)。北から始まり、南はパタゴニアと呼ばれるエリアまで、アルゼンチンも少し行きつつ、最南端であるプエルトウィリアムスまで行っている。

個人的にはパタゴニアは本当におすすめだから、この本に載っている写真を見るだけでも楽しかった。氷河が多く見られる地域で、氷河に魅せられて何度でも見たくなったという話が書いてあり、私も本当にその気持ちを味わったなと思う。そのくらい見たことのない青と、壮大さなのである。

 

チリは南米の中でも一番安全だと言われている国。北の砂漠から南の氷河まで本当に観光資源は多く持っている国だと思う。それを余すことなく見て回り、時折出てくる人々の描写や、食べ物の描写にはその国を思い出させる文章のセンスがあると思った。

女優さんだからなのかとてもおしゃれな文章が多く、読みにくさもあるが、これはこの著者だからこそ許されることであると思う。

 

ただし女優さんだからこそなのだろうが、予算感が全くわからないのがこの本の残念なところ。一人で行っている感じはするけど、コミュニケーションはどうやって取っているのだろうか。英語が話せても本に出てくるほどのコミュニケーションは取れないと思うから、通訳を雇っていたとは思う。車もたまにドライバーを雇っている時があるようだ。そうなってくると、普通の人が旅行に行く際には、やはり参考にはならない。

 

冬の夜、少し眠くなる前に暖かいところでゆっくり読むような柔らかい旅行記。チリの良さはとても分かる。マイナーな国だからこそ、著者に惹かれて読んでみてもいいかもしれない。

 

<まとめ>

・チリの雰囲気がよくわかる

・写真が多くて良い。ご本人のイラストやスクラップブックもおしゃれ

・予算感が全くわからない 

 

モンキームーンの輝く夜に

『ガンジス河でバタフライ』で一躍有名になった「たかのてるこ」さんのラオスに行って恋をしてしまった、というかなり赤裸々な旅行記というよりは告白をまとめた本。

 

ラオスの首都ビエンチャンで市場に行った時に日本語を勉強しているという青年に会う。本の中にも書いてあるが、「日本語を勉強している」という怪しい人は世界に多数いて、まず信用してはならないというのが旅人の鉄則である。

 

しかしそこは分かっていても著者はあれよあれよといろいろなところを案内されて、ふとした時につかんだ彼の手にキュンとしてしまう。彼の家族に会ったり、いろんなことがトントン拍子で進んでいき、二人は結婚の約束をするのであった。

 

読んでいる側からしたら「えー!」って感じだったし、これってよく女の一人旅でよく聞く現地の人とのその時だけの盛り上がっちゃった恋愛なんじゃないかって思った。一応本の中では、帰国してからも関係継続中で本気で結婚を考えているところまで書かれていたが、読み終わった後さすがに気になって調べてみたら、のちに別れて彼は今別の人と結婚したとのことだった。

 

本の中ではラオスのことよりも、その恋愛が一気に燃え上がって、しかもリアルな話だから読んでいる方もドキドキさせられる。「えー!」と思いながらも、結局今はどうなっているんだという野次馬根性すら発揮させられてしまうような素敵な物語であった。

 

肝心の本書におけるラオスについて。ラオスのゆる〜いお国柄がとってもよくわかる内容になっていた。確かにラオスってゆるくて人が良くて、行った印象としては永遠に子どもの時の夏休みが続いている感じだった。どこに行っても一種の怖さというか、そういうものを感じなかった。

ラオスってどういうところだろう」と興味を持った時にまず読んでみるととっても好印象だと思うし、間違った印象を書いていないと思う。ラオスに行くための必読書ではないが、少し興味を持ったならこの本からゆる〜く入ってみてもいいのでは。

ただし著者のこの行動力と物怖じのしなさ、コミュニケーション能力の高さがあったが故にいろいろな縁ができていっているし、英語が少し喋れるということなので、(恋愛以外の部分で)同じような経験ができるかと言われると、それは違うということを認識するべきだ。

 

残念だったのは、本のメインが著者の恋愛話だったため、冒頭でラオスの地図や旅行ルートを載せているにも関わらず、行き方や北部の民族に関する描写がとても少なかったことだ。著者のファンであればそんなのはどうでも良く、楽しく読める告白本であると思う。

 

 <まとめ>

ラオスの雰囲気はとてもよくわかる

・著者のコミュ力があるからこそラオスのたくさんの魅力を知った感じ

・観光にいく人が何かを知りたい時には読んでも仕方がない